一般社団法人 日本歯車工業会

日本歯車工業会の3大事業

規格事業

昭和31年(1956年)に機械工業振興臨時処置法(以下「機械法」)が制定公布され、この指定業種になるための条件として歯車の精度規格の制定をする必要があり、「機械法」制定公布と同時に技術委員会さらにその中に規格委員会を発足させ、歯車業界として技術向上を図るための日本歯車工業会規格「JGMA」制定に着手しました。同年に初版となる「平歯車およびハスバ歯車の精度」規格を制定し、現在までに57規格を制定しています。
これら日本歯車工業会規格「JGMA」は、ISO国際規格をはじめ先進工業国の規格との整合性も考慮しており、逐次日本工業規格(JIS)としても採用され、歯車業界は基より広く産業界に多大に貢献しています。
日本工業規格(JIS)については、平成8年(1996年)10月の閣議決定をうけて「現行の日本工業規格を廃止し、ISOと整合化した新日本工業規格を順次制定する」との指導の下、ISO規格に整合化されたJISの制・改定並びに、新技術の開発に伴う規格制定に取り組んでいます。
ISO国際規格の制・改定については、当歯車工業会が日本を代表する唯一の機関として、経済産業省より国際規格原案の作成委託を受け、書類審議並びに委員を国際会議に派遣し、日本の意見を反映させ国際規格の作成・改訂に参画しています。 
前述の通り、JISとISO国際規格との整合化が求められている現在、国際規格に対しては、その原案作成の段階から積極的に取り組むことが、日本の歯車製造業並びに使用者等歯車関係に携わる皆様、強いては日本の国益にとって大変に重要なことです。

国際標準化機構(ISO)との技術交流

日本はISO(国際標準化機構)/TC(専門委員会)60(歯車)へPメンバー(積極参加メンバー)として登録されており、各種国際会議へ積極参加し世界の技術者と積極的に意見交換や情報交換を行い、国際交流と親善に大きな役割を果たしています。
また、「日本工業規格を対応するISO国際規格との整合化へ積極的移行」の国家的方針により、国際規格に対しても、その原案作成の段階から積極的に参画することが不可欠です。
加えて審議へ参加し日本の立場・意見を述べることで、日本の歯車製造業界にとって大きなメリットとなります。
令和元年(2019年)秋、風力発電増速機に関するISO/IEC Joint meetingに合わせて、11月15日~19日の日程でISO/T60/WG2(歯車精度)とISO/T60/SC1/WG4(歯車用語)の2つのワーキンググループミーティングを機械振興会館にて実施。

国際交流事業

海外視察団の派遣

昭和33年(1958年)、第1回欧米視察団を派遣し、以後今日に至るまで様々な視察団派遣を実施しています。この間欧米の有力歯車企業の見学並びに工作機械見本市の見学を行い、海外企業との交流・技術情報の収集につとめています。

海外団体との交流「歯車サミットの開催」 

平成3年(1991年)米国歯車工業会(AGMA)が、米国の歯車業界の衰退は日本・欧州からの歯車の輸入増加が原因であるとして米国務省へ提訴し、歯車の安全保障、つまり輸入歯車の国防に及ぼす影響調査を求めるという事態が発生しました。当工業会としては通産省(現:経済産業省)のご指導のもと反論書を提出し、米国務省が調査の結果、本件は「米国の国家安全保障を脅かすものではない」との判定で決着しました。
この提訴事件も結局はお互いの実状認識不足から生じたもので、これをきっかけに欧州歯車工業会(EUROTRANS)の提案で日・米・欧、互いに理解が必要との認識のもと、平成5年(1993年)「第1回歯車サミット」が独国で開催されました。その後延べ5回開催され、国際交流・親善に大きな役割を果たしております。
平成14年(2002年)秋、第6回会議が日本で開催され通例の「日・米・欧」3地域のみの開催でなく、中国、台湾、オーストラリア等アジア諸国も含めた世界的な会議に発展しました。

今後も更に参加地域を広め「世界歯車サミット」としての発展が期待されています。

教育事業

優良企業の見学会実施並びに各種改善活動事例の研修会、講演会の実施

「経営研修会」と称し、技術・人材開発、教育、経営管理等の実例に基づいた研修会、講演会を全国各地にて開催しています。経営力・技術力の強化を目的とし、研修会を通して経営・技術上の有益な情報・知識を習得し、事業発展に生かし、また会員同士の交流を深め、新たなビジネスチャンスを広げることに寄与しています。

中核人材育成事業への支援

「JGMA ギヤカレッジ(歯車技術講座)」
JGMA ギヤカレッジは、若い世代の技術者に過去から蓄積された普遍的な歯車技術・ノウハウを継承し、製造現場に知識・技術の速やかな導入を図ることにより、歯車産業界のグローバル競争力の維持・向上に貢献するという目的のもと開講しました。
上記は平成17年(2005年)に九州大学大学院に産官学連携事業として、「ものづくりスーパー中核人材センター」を設置
(平成20年(2008年)~、九州大学の自立事業として「ものづくり工学教育研究センター」に改称)、その中の「歯車製造コース」を当会が平成23年(2011年)より継承し、今日に至っております。
平成17年(2005年)に事業を開始し大勢の修了者を輩出しております。修了者は歯車産業界の次世代を担う有望な人材として、現場実務の最先端で活躍されています。

「JGMA ギヤカレッジ・フォローアップ研修会」
JGMA ギヤカレッジ終了生を対象に、幅広い技術交流並びに共通する技術的諸問題の解決等、企業間を越えた新たな連携・協力体制の構築を支援する目的のもと、JGMA ギヤカレッジを補完する新規事業として平成28年度(2016年)に立ち上げ、年に数回研修会を開催しています。